痔の治療法について
1)内痔核(イボ痔)
症 状: 肛門の静脈(直腸側)がコブ状にふくらんだものです。初期の症状は出血です(第1度)。進行すると排便時にイボが脱出するようになります。脱出の程度により、脱出したイボが自然に戻る(第2度)。脱出したイボを指で押し戻す(第3度)。常にイボが出ている(第4度)に分類されます。 |
治療法: 保存療法(便秘の治療、外用薬の使用など)が基本です。硬化療法、ゴム 輪結紮法などの治療法も選択でき、これらは通院にて治療が可能です。 第3~4度に進行した痔核では、手術療法(結紮切除法)が確実な根治を期待できます。手術期間は約20分程度で済み、入院期間は7~14日間です。術後の痛みもほとんどない工夫をおこないます。なお治療法は年齢や職業、患者さんの都合を十分に配慮し選択いたします。 |
※硬化療法:
パオスクレー注:5%フェノールアーモンド油を内痔核の粘膜下に注入し痔核を縮小させる方法です。外来でも痛みもなく出血に特効的です。
※ゴム輪結紮法:
内痔核の根元を結紮器を用いて、ゴム輪で結紮する方法です。
結紮された内痔核は約1週間でなくなります。痛みはありません。外来で行える根治手術と言えます。
※特殊な治療法:
ALTA法(ジオン注):平成16年7月より承認された注射法です。パオスクレーと根治手術の中間に位置付けされています。内痔核に注射し、痔を硬くして粘膜にゆ着・固定させる方法です。注射量が多いと副作用を起こしやすく、少ないと再発するという課題があります。
2)血栓性外痔核(急性イボ痔)
症 状: 肛門のまわりの部分に血のかたまり(血栓)ができて腫れあがったものです。 あずき大からえんどう大の丸いしこりで5日間程度は痛みを伴います。血のかたまりは3週間程度で自然に吸収されます。 |
治療法: 薬物療法が基本ですが、痛みが強い場合や血のかたまりが大きい場合には外来で切除します。 |
3)裂肛(切れ痔)
症 状: 肛門の皮膚の部分が硬い便で切れたものです。ふつう肛門の後方にできます。排便時とその後の鋭い痛みが特徴です。慢性化すると裂創は深くなり (肛門潰瘍)、肛門が狭くなり(肛門狭窄)、肛門ポリープや皮膚痔(スキンタッグ)が現れます。 |
治療法: 初期であれば保存療法(便秘の治療、外用薬の使用)でほとんど治ります。 痛みが持続する場合や肛門狭窄があれば手術が必要です。約1週間の入院で完治します。 |
4)痔瘻(じろう)
症 状: 肛門の皮膚の部分が硬い便で切れたものです。ふつう肛門の後方にできます。排便時とその後の鋭い痛みが特徴です。慢性化すると裂創は深くなり (肛門潰瘍)、肛門が狭くなり(肛門狭窄)、肛門ポリープや皮膚痔(スキンタッグ)が現れます。症 状: 直腸と肛門の境界部にある肛門小窩(肛門腺)に細菌感染がおこり、肛門の 周囲が化膿し(肛門周囲膿瘍)、ウミのトンネルが形成されたものが痔瘻です。放置すると腫れと排膿を繰り返します。 |
治療法: 単純な痔瘻は瘻管切開術、複雑な場合は括約筋温存術を行います。 |